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筋力増強

はじめに
整形外科手術の前後や保存的治療が主となる整形疾患、あるいはその他の疾患においても、筋力増強訓練と可動域訓練などは最もよく行われている理学療法です。ここでは実際に使える筋力増強訓練や可動域訓練の原則・方法、その他整形外科理学療法に必要な基本的訓練方法について解説します。

リハビリにおける筋力増強について
1)筋力増強の基本原則
(1)最大数の運動単位(筋線維の束の最小単位)が同時に働く。
(2)遠心性インパルスが同期する。
(3)運動単位の活動リズムが同期化する。

つまり、目的とする動作に対して参加する筋線維の数を増すことが重要であり、そのためにはその筋が出せる最大筋力に相当する負荷(抵抗)が必要となります。
最大筋力に満たない負荷では、その動作に対して全ての運動単位が参加している訳ではありません。参加している一部の運動単位が疲労すると他の運動単位が交替して働き、結果としてその運動を長時間行えるようになる現象が起きますが、これはいわゆる「持久力」であり、ここで目的としている「筋力増強」ではありません。
逆に最大筋力を発揮するような負荷を一度に与えることは困難です。それは強靱な精神力(集中力)と筋活動の統合を必要としますが、患者さんにそれだけのものを要求するのは不可能です。また、最大負荷は筋肉や関節の損傷を伴うこともあり危険です。
そこで、最大筋力に近い負荷を繰り返し与える方法が使われます。それにより個々の筋線維は徐々に働きが弱くなり、最終的には全運動単位が参加しなくては負荷に抗することができなくなります。これにより、最大筋力を発揮したのと同じ現象が起きます。
しかし、負荷が少な過ぎると筋は単純に疲労するだけになってしまうので、低負荷の運動は好ましくありません。

2)どれぐらいの抵抗を、どれくらいの量行えばよいのでしょうか?(等尺性筋力増強訓練)
最大筋力の40%以上、効率よく筋力を増強しようとすれば60%以上の負荷が必要といわれています。必要な筋収縮の持続時間は、負荷の量が減少するにつれて延長します。40%の負荷では20秒程度の収縮時問を必要とします。現実にはこれだけの時間、集中して力を維持しようとすることは困難です。
しかし、長期臥床していた患者が立ったり、坐位をとったりした場合は、自然とこのような負荷がかかることが多く、栄養状態の改善も相まってある程度は自然に筋力は回復していきます。

等尺性筋力増強訓練の強度と時間
最大筋力に対するトレーニング強度(%) 必要な筋収縮時間 (秒)
40〜50 15〜20
60〜70 6〜10
80〜90 4〜6
100 2〜3

3)どれぐらいの抵抗を、どれくらいの量行えばよいのでしょうか?(等張性筋力増強訓練)
等張性筋力増強訓練では1RM(1回しかその動作を行えない最大負荷)を基準とし、約60%以上の負荷が必要とされます。効率よく筋力を増強するためには、さらに高い負荷が必要ともいわれています。
では自分が今行っている訓練が、本当にそれだけの負荷になっているのか見分けるには、どうすればよいのでしょうか。
そこで、80%以上の負荷を与える場合を下記の表をもとに考えると、これは約10回、何とか反復することができるだけの負荷と言い換えることができます。つまり、11回以上繰り返すことができるなら、その負荷は少な過ぎるということです。また、10回を越えることのできる運動負荷では、筋疲労よりも先に精神面での疲労が生じるといわれており、負荷量の判定に用いるのも困難なため避けるべきです。

1RMに対する負荷量と可能反復回数
1RMに対する負荷量 反復回数
100% 1
95% 2〜3
90% 4〜5
85% 6〜7
75〜80% 8〜10

4)運動強度と運動エネルギー
少ない負荷で多くの回数を行うほうが、楽そうにみえますが、本当にそうでしょうか。運動強度と反復回数を掛け合わせると、使用する運動エネルギーが計算できます。

等張性筋力増強訓練の負荷量と運動エネルギー
運動強度 運動エネルギー
lRM 100×1=100
3RM 95×3=285
5RM 90×5=450
10RM 80×10=800

1RMを100%とすると、3RMならば95%の負荷を3回ということになり、285%となります。5RMならば90%の負荷が5回で450%にもなってしまいます。
臨床では積極的な筋力増強といいながら、前述のような数をこなす訓練を行い、疲労を蓄積させてしまう例もあります。

一般的な筋力増強の原則
(1)高負荷で少ない回数しか行うことのできない負荷を与える。
(2)1セットの訓練では十分な刺激量を与えにくいので、数回のセットを組むこと。
ふつう3〜4セット。5セットを越えると疲労の本となる物質、乳酸が蓄積しはじめ、十分な張力を得ることが困難。
(3)セット間の休憩時間を30秒から1分程度とる。
ふつう筋中のエネルギー源となる物質は、30秒で約半分補充されることから、これぐらいの休憩時間が必要。
(4)最大伸長位から最大短縮位に及ぶ運動にすること(動かせる範囲で最大限に動かす)。
これにより多くの筋線維に刺激を与えることが可能。

RM
10RMは、10回反復最大負荷(10repetition maximum)のことですが本当に理解していますか?これは、10回しか反復できなくて、11回目には絶対同じ負荷では運動を行えないという意味です。同様に1RMは1回きりしか行えない負荷を表しています。もう1回連続してできたら、1RMではありません。